実行行為性、実行の着手時期

目次

第1序論
第2本論
1 総説
2 殺人未遂罪
(1)総説
(2)実行行為性
(3)実行の着手時期
(4)結果未発生
(5)故意
(6)結論
3 殺人罪
第3結論


引き続き、予備試験平成29年刑法の甲の罪責を検討する。

第2 本論

2 殺人未遂罪

(2)実行行為性

ア 検討
・内容の確認

(1)のナンバリングでは、実行行為性を検討していくことになる。
劇薬Xの致死量は10mlであるが、甲はXを8mlしか注入していない。
致死量に満たない劇薬を注入したワインを送る行為によっては、Vを殺害することはできないのではないか。
これが、実行行為性の問題意識である。
実行行為とは、構成要件的結果発生の現実的危険性を有する行為をいう。
つまり、Xを8ml注入したワインを送った行為に、Vの死亡という結果発生の現実的危険性があったかが問題となる。

イ 構成の決定
・下位展開の決定

(1)のナンバリングでは、実行行為性が認められるかということが問題となることを指摘する。
この検討については、詳細な検討が必要になる。
(1)のナンバリングでは、実行行為性の有無というトピックを提示するにとどめ、具体的内容は(1)のナンバリングの中で下位のナンバリングを展開して論じるべきであろう。

・下位展開の検討

ナンバリングでは、レベルを揃えるべきである。
実行行為性と実行の着手時期、結果、そして故意は構成要件要素である限りにおいてそのレベルは同一であるから、ナンバリングのレベルは揃える必要がある。
そのため、(1)のナンバリングで実行行為性について、(2)のナンバリングで実行の着手時期について、(3)のナンバリングで結果について、(4)のナンバリングで故意についてそれぞれ論じることにする。

・下位構成の決定

下位のナンバリングをどのようにすべきか検討する。
問いに答える結論部分に独立したナンバリングを与えたのと同様に、実行行為性の有無に対する結論部分にも独立したナンバリングを与えるべきであろう。
実行行為性の有無を判断するためには、その判断基準を導く必要がある。
判断基準を導くまでの抽象論を論証として、独立したナンバリングを与える。
そして、本件において実行行為性が認められるかを具体的に検討する部分を当てはめとして、独立したナンバリングにする。
これにより、アのナンバリングを論証、イのナンバリングをあてはめ、ウのナンバリングを結論とする。
これにより、実行行為性の検討についてのナンバリングが決定する。

(3)実行の着手時期

ア 検討
・内容の確認

(2)のナンバリングでは、実行の着手時期を検討していくことになる。
甲は、劇薬Xの入ったワインを梱包し、V宅宛てに宅配便で送ったにすぎない。
宅配便で荷物を送るだけの行為によって、死の結果発生という危険が惹起されたのか。
これが実行行為の着手時期の問題意識である。

・実行行為性と実行の着手時期

実行行為性と実行行為の着手時期の違いは何か。
これらは、構成要件的結果発生の危険性を抽象的に捉えるか具体的に捉えるかによって区別される。
実行行為性は、その行為によって構成要件的結果発生の危険性を惹起できる可能性があるかということを問題にする。
これに対し、実行の着手時期は、その行為によって構成要件的結果発生の危険性が実際に惹起されたかを問題にする。
危険性を惹起できる可能性の検討にとどまるか、実際にその危険が惹起されたかを問題にするかという違いである。
抽象的な危険の惹起と具体的な危険の惹起は、それぞれ分けて検討する必要がある。

・検討すべき事項の確認

問題意識が異なることによって、指摘すべき事項も異なる。
実行行為性は、抽象的な結果発生の危険性を問題とするから、Vの特異な疾患という客観的事情を指摘する必要がある。
これに対し、実行の着手時期は、具体的な結果発生の危険性を問題とするから、宅配制度の確実性やVのワイン好き、劇薬Xについてのなお書きなどの事情を指摘する必要がある。

イ 構成の決定
・下位展開の決定

(2)のナンバリングでは、実行に着手したと認められるかが問題となることを指摘する。
この検討については、詳細な検討が必要になる。
(2)のナンバリングでは、実行の着手時期というトピックを提示するにとどめ、具体的内容は(2)のブロックの中で下位のナンバリングを展開して論じるべきであろう。

・下位展開の検討

下位のナンバリングをどのようにすべきか検討する。
問いに答える結論部分に独立したナンバリングを与えたのと同様に、実行の着手時期に対する結論部分にも独立したナンバリングを与えるべきであろう。
実行の着手時期を判断するためには、その判断基準を導く必要がある。
判断基準を導くまでの抽象論を論証として、独立したナンバリングを与える。
そして、本件において実行に着手したと認められるかを具体的に検討する部分を当てはめとして、独立したナンバリングにする。
これにより、アのナンバリングを論証、イのナンバリングをあてはめ、ウのナンバリングを結論とする。
これにより、実行の着手時期の検討についてのナンバリングが決定する。

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