–目次–
第1序論
第2本論
1 訴えの利益
2 現在給付の訴え
3 将来給付の訴え
(1)請求適格
ア 検討
イ 構成の決定
(2)「あらかじめその請求をする必要がある場合」
(3)帰結
第3結論
第2 本論
3 将来給付の訴え
・内容の確認
3のナンバリングで論じるべきことを確認する。
将来給付の訴えについては、135条にその要件が規定されている。
同条の要件に加えて、将来給付の訴えを提起するためには請求適格が認められる必要がある。
そのため、(1)で請求適格が認められるかを、(2)で「あらかじめその請求をする必要がある場合」にあたるかをそれぞれ検討することになる。
最後に、(3)で将来給付の部分についての訴えの利益があるかという、3のブロック冒頭の問いについての結論を述べる。
(1)請求適格
ア 検討
・内容の確認
(1)のナンバリングでは、請求適格の有無を検討する。
将来給付の訴えだからといって、請求適格を必ず検討しなければいけないわけではない。
請求適格の有無について論じるべきか、まず検討する必要がある。
・詳細な検討が不要な場合
期限未到来や停止条件未成就の請求権を内容とする場合は、請求適格は肯定される。
請求権の基礎となる事実関係はすでに発生しているといえるからである。
・詳細な検討が必要な場合
これに対して、将来の不法行為に対する損賠賠償請求権など、請求権の基礎となる事実すらいまだ発生していない請求権を内容とする場合は、請求適格が問題になる。
この場合には、請求適格について詳細な検討が必要になる。
・本問の検討
本件訴訟がどちらに該当するかを検討する。
本件賃貸借契約は、AY間で締結されたものである。
Xは、本件賃貸借契約後に、甲土地をYと共有するようになったにすぎず、本件賃貸借契約の当事者ではない。
Xは、Yが受け取った賃料のうち、Xの持分に相当する部分をYから交付されているにすぎない。
そのため、Xが受け取る金銭はYがAから賃料を回収しないと生じない。
YがAから賃料を受け取らなければ、Xに対して支払うべき金銭は発生しないのである。
そうだとすれば、XのYに対する請求権の基礎となる事実すらいまだ発生しているとはいえず、本問は請求適格の有無が問題となる場合にあたる。
イ 構成の決定
・下位展開の決定
以上のことから、(1)のナンバリングでは、請求適格の有無が問題となることを指摘することになる。
請求適格の有無については、詳細な検討が必要になる。
(1)のナンバリングでは、請求適格の有無というトピックを提示するにとどめ、
具体的内容は(1)のナンバリングの中で下位のナンバリングを展開して論じるべきであろう。
・下位展開の検討
下位のナンバリングをどのようにすべきか検討する。
問いに答える結論部分に独立したナンバリングを与えたのと同様に、
請求適格の有無に対する結論部分にも独立したナンバリングを与えるべきであろう。
請求適格の有無を判断するためには、その判断基準を導く必要がある。
判断基準を導くまでの抽象論を論証として、独立したナンバリングを与える。
そして、本件において請求適格が認められるかを具体的に検討する部分を当てはめとして、独立したナンバリングにする。
すなわち、アのナンバリングが論証、イのナンバリングがあてはめ、ウのナンバリングが結論となる。これにより、請求適格の有無の検討についてのナンバリングが決定する。
(2)「あらかじめその請求をする必要がある場合」
・内容の確認
(2)のナンバリングでは、「あらかじめその請求をする必要がある場合」といえるかを検討する。
これは義務者の態度、給付義務の目的・性質などを考慮して個別具体的に決定されることになる。
こちらについては、請求適格のように大々的に展開して検討する必要はない。
規範を提示して、端的に当てはめるだけで十分であろう。
・下位展開の検討
下位のナンバリング展開は不要と考える。
論証、当てはめ、結論がそれぞれ1行では、ナンバリングにより改行すると余計な分量を割いてしまう。
さらに、1行ごとにナンバリングをつけていては、相手に何も考えずにナンバリングをしているのかと思われかねない。
ナンバリングは意味があってつけるものである。
しかし、意味内容ごとの分量や答案の分量に応じて柔軟な対応を取る必要がある。
(3)帰結
(3)のナンバリングでは、本件訴訟のうち将来給付の訴えの部分に訴えの利益があるかという問いに対する結論を述べることになる。
ここで出す結論は、将来給付の訴え部分における訴えの利益の有無であって、本件訴訟全部について論じたものではない。
本件訴訟という一つの訴訟に対する訴えの利益の有無、すなわち設問に対する結論は、4のナンバリングで示すことになる。
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